研究課題
皮膚筋炎(Dermatomyositis:DM)は皮膚と筋肉を炎症の主座とする全身性自己免疫疾患であり、いまだ根源的な治療法が見つかっていない難治性疾患のひとつである。DMは発症年齢や合併する病態によりいくつかのサブセットに分類され、特に生命予後不良のタイプとして悪性腫瘍合併のタイプと急速進行性の間質性肺炎を合併するタイプがある。ところが、それら予後不良のタイプを発症早期より推定、鑑別しうる症状や検査マーカーに乏しいのが現状である。近年、DMの各サブセットを特徴づける自己抗体が判明し、その同定が重要視されているが、いまだに一部の限られた実験施設でしか行われておらず、また定量的に測定できる系は殆ど確立されていない。それらの自己抗体を簡易に素早く測定できるシステム作りが患者救命に望まれる。TRIMファミリー蛋白のうち、TRIM33は既にDM関連自己抗原として報告されているTIF1-γであるが、この蛋白に対する自己抗体が悪性腫瘍合併のDMに関連が深いとして有名である。TRIM33と構造が類似し、複合体を形成することが判明しているTRIM24 (TIF1-α)とTRIM28 (TIF1-β)についても、悪性腫瘍合併のDMに自己抗体が存在することが最近報告された。これら3種類の蛋白のcDNAを購入し、市販キットを用いた転写翻訳システムによるビオチン化リコンビナント蛋白と、ストレプトアビジンをコートしたELISAプレートを用いたイムノアッセイについては、ルミノメーターを用いることにより、高感度のELISAとして臨床応用が可能であることが、今回の我々の実験結果から示唆された。
2: おおむね順調に進展している
複数の種類の自己抗体について、我々の開発したELISAの系は感度、特異度とも十分満足する結果を与えてくれており、少なくとも実験結果によって定量性が確保されていれば、同一患者での経時的観察も可能であることも判明した。
DM関連の新規自己抗体の発見に、我々の系を応用することを考え、当初、TRIM24とTRIM28に注目していたが、他のグループより報告された。そこで我々は他のTRIM蛋白について、その機能や構造から自己抗原となっている可能性が高いと考えられるものについて、我々のELISAを用いて抗体の有無について調べていく。
cDNAプラスミドや各種ポリクローナル抗体の購入費、およびELISA、免疫沈降法に要する実験試薬や器具(消耗品)の購入費
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International Journal of Dermatology
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