研究課題/領域番号 |
24791151
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
尾本 陽一 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (70456739)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 皮膚そう痒性疾患 / アトピー性皮膚炎 / 痒み評価法 |
研究概要 |
患者に対して抗アレルギー剤を投与し、データ収集及び解析を行った。簡便な為日常診療で用いられるが客観性に乏しいVisual Analog Scaleによる評価と異なり、我々の開発した有線型掻破音測定機による解析の方が早期より掻破行動を抑制していることが明らかになった。このことは、主観的なVisual Analog Scaleによる従来のかゆみ測定法より掻破音測定機の方がかゆみ及び掻破行動を鋭敏に客観的に捉えていることを示唆していると考える。データ収集に伴う明らかな副作用はなく、解析もPCを用いて短時間で終了できた。よって、既存のビデオ撮影による解析よりも掻破音測定機の方が安全かつ簡便であると考える。従来の痒み評価法の中で、客観性・簡便性・安全性にすぐれている点が重要な点である。 また、工学部との共同開発により、無線型掻破音測定機の開発に成功した。従来の有線型のものとは異なり、ブルートゥースを用いて集音器とタブレット型解析器を連携することにより、有線が患者に絡みつく危険性を排除し、有線による患者への苦痛を軽減し、機器のサイズを縮小し簡便化することに成功した。また、従来の有線型掻破音測定機と同等の検出率を持つことを明らかにした。 学会発表としては、2012年5月に第24回春期アレルギー学会、7月に第11回EBMフォーラムで発表を行った。講演会としては、2012年10月に協和発酵社内研修会で、2013年1月に三重アレルギー市民公開講座にて掻破音測定機に関する講演を行い、研究成果の意義や啓蒙活動をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新しい無線型掻破音測定機の開発に成功したものの、開発直後でもあり、被験者の人数には乏しく、十分な有意差をもって本機器が有効といえるまでのデータ蓄積には至っていない。また、若干の機器の微調整が必要な見込みであることも判明した。今後は機器の調整を速やかに行い、早く被験者に導入できるようにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究に関しては、当初の予定通り進めていければと考えている。すなわち、平成24年度に新規開発した無線型掻破音測定機を用い、アトピー性皮膚炎患者に対する既存の薬剤投与・評価試験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に関しての研究費の使用計画に関しては、概ね当初の予定である。 最大の予算を配分している小型集音掻破音測定機に関しては、前年度に100万円を繰り上げて使用しており、使用が大きく増える見込みはない。しかし、使用する段階でマイナーチェンジしていく可能性があり、多少の予算上乗せの可能性がある。 集音器に関しては、本研究において新しく開発した集音器ではブルートゥースを用いたタブレット端末によるデータの集積方法を採用しているため、新しくタブレット端末を用いる予定であるが、予算内に収まる想定である。 消耗品に関しても、本研究において新しく開発した集音器に用いるシリコンシートなどは既存に開発していた機械とは異なるものであるが、概ね値段やサイズに大差はなく、予算内に収まる想定である。
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