研究課題/領域番号 |
24791157
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森実 真 岡山大学, 大学病院, 助教 (80423333)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / カリクレイン / Th2サイトカイン |
研究概要 |
セリンプロテアーゼの異常活性はアトピー性皮膚炎の病態に重要な役割を果たしていることが明らかになっている。我々はこれまでの研究でTh2サイトカインであるIL-4とIL-13だけが表皮角化細胞においてカリクレイン7の発現と機能を増強することを見出した。その一方でアトピー性皮膚炎におけるセリンプロテアーゼ阻害因子の発現について、またその発現制御機構について詳細に報告するものはまだない。我々は同細胞においてセリンプロテアーゼ阻害因子LEKTIの発現を制御する因子を検索するため、培養正常ヒト表皮角化細胞を用いて検討した。ELISAの結果ではホルモン、サイトカイン、Toll様受容体リガンドのうち、高濃度Ca2+、TNF-a、IL-17が培養上清中のLEKTIタンパクの発現を有意に増強させていた。これらの結果は慢性皮膚炎症性疾患であるADと乾癬病変部におけるLEKTIの発現の差に関与している可能性がある。 また我々はハプテン繰り返し投与のTh2依存性皮膚炎マウスモデル(アトピー性皮膚炎モデル)においてセリンプロテアーゼ阻害剤が与える影響について検証した。1%TNCB溶液(20ul)またはコントロール(アセトン20ul)を感作後2日おきに同側の耳に12回塗布し,その後1日2回ベンズアミジン(50ul、濃度は5、50、500mM)の外用塗布した。0、24、48、96時間後に耳介の厚さを測定したところベンズアミジンとコントロール間に有意な差はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は表皮角化細胞において高濃度Ca2+、TNF-a、IL-17がカリクレインを制御するLEKTIタンパクの発現を誘導することを見出した。またハプテン繰り返し投与のTh2依存性皮膚炎マウスモデル(アトピー性皮膚炎モデル)を確立したため、セリンプロテアーゼ阻害剤が与える影響について容易に評価できるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は他のセリンプロテアーゼ阻害因子であるSLPIやエラフィンについてもアトピー性皮膚炎における発現量、およびそれらの発現制御機構について解析する。 またハプテン繰り返し投与のTh2依存性皮膚炎マウスモデル(アトピー性皮膚炎モデル)において他のセリンプロテアーゼ阻害剤(メシル酸ナファモスタット、アポロチニン、など)が与える影響について検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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