ヒト表皮角化細胞の性質を理解することは、表皮の恒常性維持や創傷治癒に対する新たな治療法の開発、さらに表皮角化幹細胞を用いた再生医療にも直結している。本研究では、ヒト表皮角化幹/前駆細胞と一過的にのみ増殖するTA細胞では、細胞内アクチン繊維の配向性が異なること、また、このアクチン繊維配向性の違いがRac1タンパク質の活性の違いによるものであることを明らかにした。さらに、Rac1はヒト表皮幹細胞の維持に必須であり、細胞運動性と増殖性に相関関係が見られた。以上の結果から、細胞内張力やそれに関与する細胞内骨格の制御がヒト表皮角化細胞の増殖に関与していることが明らかとなった。
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