研究概要 |
乾癬は、慢性かつ難治性の経過をたどる皮膚疾患である。乾癬の病変部ではその病態形成、維持において、IL-17、IL-22が重要な役割を担っているが、ヒトの乾癬病変部におけるγδ T細胞の働きはほとんど解明いない。 乾癬モデルマウスのひとつに、IL-23をマウスの耳に皮内注射することで、病理組織学的に乾癬に類似した炎症反応を再現した実験系がある。研究代表者らはこの実験系を用いて、IL-23刺激の反応のごく初期の段階で、CCR6を発現し、IL-17、IL-22を産生、分泌するγδ T細胞が増加し、IL-23による乾癬様の炎症反応誘発において重要な役割を担っていることを報告した(Mabuchi et al. J Immunol. 187: 5026-5031, 2011)。CCR6はケモカインレセプターの1つであるが、そのリガンドはCCL20のみであること、そしてIL-22によって刺激された角化細胞は異常分化するとともに、早期からCCL20を産生、発現することが知られている(Hedrick et al. J Clin Invest 119: 2317-2329, 2009.)。研究代表者らは上記の実験系に抗CCL20抗体を加えることで乾癬様の炎症反応を有意に抑制することに成功し、新たに報告した(Mabuchi et al. J Invest Dermatol. 133: 164-171, 2013)。 この結果から、いまだ根治療法が存在しない乾癬治療において、新規の治療薬、治療法の発見が期待できる。
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