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2013 年度 実績報告書

自己炎症性疾患TRAPSの炎症誘発と病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24791186
研究機関産業医科大学

研究代表者

大森 俊  産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (90551870)

キーワード自己炎症性疾患
研究概要

TRAPSはTNF受容体遺伝子の変異を伴う自己炎症性疾患である。その症状にはIL-1βやIL-6、TNFαなどの炎症性サイトカインが関与しているとされている。我々はヘパリン投与により炎症症状が誘発された症例を経験し、そのメカニズムを検証した。
TRAPS患者ならびにその家族より末梢血の提供を受け末梢血単核球を分離したのち、ヘパリンを添加し培養を行った。培養上清中の炎症性サイトカインをELISA法にて測定すると、TRAPS患者は健常人と比較してIL-1βおよびIL-6の産生が高まっていることがわかった。またヘパリンによるIL-1βの産生は、明らかな臨床症状はないものの同じ遺伝子変異を有する患者の母親においても確認できた。
ヘパリンがcaspase-1の活性化を介してIL-1βの産生に寄与していることから、inflammasomeの活性化因子であることが示唆されたが、それに伴い既知のinflammasome活性化因子がTRAPSにおける炎症性サイトカイン産生に影響を与えるかという新たな疑問も生じた。そこでTRAPS患者の末梢血単核球にATPを添加し、その培養上清中のIL-1βをELISA法で測定すると有意な産生亢進が確認された。
これらを踏まえて、ヘパリンが細胞からのATP放出を促し、そのATPが間接的にinflammasomeを刺激しIL-1βを産生させるのではないかという仮説を立てた。ATPはP2X7受容体を介してinflammasomeを活性化させるが、そのアンタゴニストであるoxidized ATPを用いてIL-1βの抑制作用を検討した。するとヘパリンやATPによって誘導されるIL-1βはoxidized ATPによって有意に抑制されることがわかった。
これらの結果より、周期的に繰り返すTRAPSの炎症症状には、生体ストレスに伴って細胞から放出されたATPが関与している可能性を見出すことができた。

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公開日: 2015-05-28  

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