(尋常性乾癬の病態における皮膚樹状細胞の役割について) 皮膚には主にランゲルハンス細胞、ランゲリン陽性真皮樹状細胞、ランゲリン陰性真皮樹状細胞、γδT細胞の4つの樹状細胞が認められる。申請者らはランゲリンを有する細胞を消去できる遺伝子改変マウス、Langerin-DTR-knocked in マウスを用いてこれらの細胞が尋常性乾癬の病態にどのようにかかわっているか解析を行ってきた。 結果としてイミキモド外用による外的刺激がランゲルハンス細胞を刺激し、ランゲルハンス細胞からインターロイキン23が産生されることが尋常性乾癬の病態形成における第一の情報提示細胞となっており、それに続いて浸潤してくる表皮のγδT細胞から産生されるインターロイキン17が尋常性乾癬の病態形成に深くかかわっていることを明らかにした。 特に尋常性乾癬は肘、膝などの物理的圧力の加わる部位に強く病変を形成することが経験上知られている(ケブネル現象)。この外部の刺激を伝達する何らかの「ストレス提示細胞」の存在が考えられてきたが、皮膚の最外層に存在するランゲルハンス細胞がこの外的ストレスにも対応している可能性が示唆された。 これらの結果から尋常性乾癬の免疫学的機序の一部を明らかにできた。これまでステロイド外用剤、ビタミンD3製剤の外用治療や紫外線治療、免疫抑制剤の内服が中心であった尋常性乾癬の治療分野において新たな生物学的製剤開発への手がかりが示されただけでなく、これら尋常性乾癬の病態に深くかかわっている細胞そのものをターゲットとした治療方法の開発とつながるきっかけになるということで意義があると考える。
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