研究課題
成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)は約50%程度に様々な皮膚病変を生ずることが知られている。その主な皮疹型は,紅斑型(patch type),局面型(plaque type),多発丘疹型(multipapular type),結節腫瘤型(nodulotumoral type),紅皮症型(erythrodermic type),紫斑型(purpuric type)の6つに分類される、これら皮膚型は独立した予後因子であることが知られている。ATLLの皮膚病変に対する治療は、菌状息肉症・Sézary症候群を代表とする皮膚T細胞リンパ腫で行われている治療が踏襲されており、それらが有効であるかを検討したエビデンスレベルの高い解析は今まで報告されていなかった。本研究では、皮膚病変に対するくすぶり型ATLL 62例の治療について、skin targeted therapy群、oral etoposide群、両者を併用したcombination therapy群の3つに分けて、後ろ向き研究を行った。Kaplan-Meier法並びに多変量解析では、combination therapy群が最も予後良好であり、oral etoposide群が最も予後不良という成績であった。また、治療による反応性と予後が関連するか検討した結果、治療反応性は予後に影響を与えることが判明した。さらに、治療群別に治療反応性について検討を行うと、最も治療反応性が良好であったのはcombination therapy群であり、oral etoposide群が最も不良であった。以上の結果から、後ろ向き研究ではあるが、皮疹型並びに治療反応性などの因子を考慮して皮膚病変の治療を行うことが重要であることが示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
当該年度に行うべき統計学的な治療成績の検討については、すでに論文として発表されているため。
平成25年度は主に治療における腫瘍細胞の変化をとらへ、細胞レベルでの皮疹治療の有効性について検討を行う。
平成25年度は免疫組織学的検討ならびに末梢血リンパ球プロファイルをフローサイトメトリを用いて検討するため、それらの試薬購入の主に使用する。
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