研究課題/領域番号 |
24791192
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
吉田 隆行 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60374229)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | セロトニン / カンナビノイド |
研究概要 |
不安や恐怖は生体防御機構の1つである一方、「過度な」不安や恐怖がこころの破綻を生じさせると考えられる 。すなわち、不安や恐怖が過度にならないよう調節する必要がある。内因性カンナビノイドはGq/11タンパク質共役型受容体の活性化によって生合成が増強されることが小脳、海馬および線条体にて知られていることから、扁桃体においてもこの可能性を検証した。Gq/11共役受容体としてセロトニンタイプ2(5-HT2)受容体を候補とし、5-HT2受容体の選択的活性化による内因性カンナビノイド(2-AG)合成について、扁桃体錐体細胞からホールセルパッチクランプ法によりGABAによるシナプス後電流(IPSC)を解析した結果、IPSCは5-HT2受容体アゴニストによって振幅が減少し、この効果は5-HT2A受容体アンタゴニストによって遮断された。 一方、不安や恐怖の情動はモノアミンによって調節されることが知られる。本研究により、扁桃体にはセロトニンやドーパミンおよびアセチルコリン作動性神経の投射が顕著であることを確認するとともに、5-HT作動性神経軸索上にカンナビノイドCB1受容体が発現していることが認められた。in vitroによる扁桃体脳スライスおよびin vivoによる脳内微小灌流により、CB1受容体アゴニストによる5-HT遊離量変化を解析したところ、CB1受容体の活性化によって5-HTの細胞外遊離量が減弱することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的に対する結果に加え、計画にはなかった新規知見とその研究の発展的方向性を見出しているため。
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今後の研究の推進方策 |
陥入型シナプスを持つ錐体ニューロンの投射部位の特定と入力神経線維選択的活性化による情動行動制御基盤解析 不安や恐怖記憶の「消去装置」を有する錐体ニューロンがどの脳部位から入力を受け、どの脳領域に投射し、情動を制御するのかについて調べる。逆行性トレーサーによって標識された投射部位特異的な扁桃体基底核ニュ ーロンの機能的特徴をスライスパッチクランプ法にて解析する。また、光遺伝学的手法により、扁桃体に入力する5-HTニューロンを選択的に活性化し、in vivoによる情動行動解析をおこなう。さらに、in vitro解析により、光刺激による投射および入力先特異的ニューロンの活動特性解析を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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