研究課題
若手研究(B)
本年度は、「対人場面での会話課題によるNIRS検査法の確立」を目的とし、行動評価およびデータ管理についての検討、開発を行った。現在までの検討の中で、まだ不十分である会話中の行動評価についての客観的な手法を取り入れることを検討した。従来の会話課題施行中のビデオカメラの測定に加えて、試行可能な客観的な行動指標について様々な検討を行った。病態生理学的な側面から特に自閉傾向に関連の深い「視線制御」について、近年開発されている視線検出装置を用いて行うこととした。視線制御の定量化については、tobii社製のアイトラッカーをNIRS装置と同時に用いて行うこととしその使用方法について、技術講習を受け、測定法および解析法について習熟した。またアイトラッカーを使用した状態での会話課題施行中のNIRS測定の可能性について検討を行った。このことにより、自然な状態の会話における脳血流計測と観察可能な行動の同時定量評価の可能性について検討した。また得られたデータの解析方法について購入したパーソナルコンピューターにデータベースを構築するため、データ管理用のソフトウェア「NIRSデータ管理」をvisual studioにより開発した。開発したソフトウェアにより、多数のNIRSデータと様々な被験者情報のデータベースを構築できる環境を作成した。このことにより、対象患者の症状評価、行動評価の管理が合理化され、人為的なデータ管理ミスの起きにくい環境が構築できた。
2: おおむね順調に進展している
会話課題中の客観的な行動指標の選定および使用、評価については確立しており、おおむね順調に推移している。
精神疾患患者について、平成24年度に確立したNIRS検査法を用いて、前頭葉、側頭葉を中心として脳機能計測を実施する。また以前のデータと比較するため、語流暢性課題も同時に測定を行う。対象は神経性食思不振症(AN)40名、健常者40名とし、測定は同一被検者に対し2回行い、オキシトシンおよび偽薬を投与する無作為化二重盲検クロスオーバー試験を行う。初回測定と2回目の測定間隔は7日間とする。オキシトシンはアスペルガー障害(AD)の研究で用いられている点鼻スプレー式(Novartis)による鼻腔内投与を行う。得られたNIRSデータについて、行動結果(測定に用いる言語流暢性検査の課題遂行成績、視線方向などの会話の行動成績)、臨床症状(ANの程度EAT-26、自閉性の程度AQ、体重Body Mass Index)、機能レベル(機能の全体的評定尺度GAF)や服用している向精神薬との関連を検討する。
該当なし
すべて 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)
Hum Brain Mapp
巻: 33 ページ: 2211-23
10.1002/hbm.21354
Biol Psychiatry
巻: 70 ページ: 35-6
10.1016/j.biopsych.2011.03.034
Int J Eat Disord
巻: 45 ページ: 447-9