研究課題/領域番号 |
24791195
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
武井 雄一 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (30455985)
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キーワード | 光トポグラフィー |
研究概要 |
本年度は、神経性食思不振症患者について、平成24年度に確立した「対人場面での会話課題によるNIRS検査法」を用いて、前頭葉、側頭葉を中心として脳機能計測を実施し、その有効性を確認することを目的とした。また以前に統合失調症、大うつ病性障害、双極性障害で取得してある語流暢性課題施行中のNIRSデータとも比較するため、語流暢性課題も同時に測定を行うこととした。また平成24年度に開発したデータ管理用ソフトウェア「NIRSデータ管理」でのデータ管理を開始し、その有効性について確認した。また測定結果を被験者にフィードバックするレポーティングシステムも追加機能として開発することとした。 神経性食思不振症2例を対象をし、昨年度開発した「対人場面での会話課題によるNIRS検査」を行い、予備的検討を行った。測定を行った2例とも、会話中前頭領域、側頭領域ともに大きな賦活が認められ、その大きな賦活は会話中ほぼ維持されることが分かった。一方で前頭極領域では、基本となる大きな賦活に、発話相/聴取相の変化に応じた小波が重畳するという波形パターンを示した。これらの結果は、以前に行った健常者における検討のパターンと似た波形であり、神経性食思不振症を対象とした場合も実際の対人場面における会話課題による評価の有効性を示す事が出来た。 また測定したデータのデータ管理用ソフトウェア「NIRSデータ管理」への登録を開始したが、登録、検索作業ともに大きな問題なく行うことが出来た。またレポーティングシステムについても開発し稼働することが出来たが、課題ごとに血流賦活の程度が異なり、表示パラメーターを工夫する必要があることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に確立した「対人場面での会話課題によるNIRS検査法」を用いて神経性食思不振症を対象に実際に試行し、予備的検討を行えており、またその評価の有効性についても確認したため。また平成24年度に開発したデータ管理用ソフトウェア「NIRSデータ管理」の稼働も開始しており、順調に稼働していることが確認されたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に確認したNIRS検査法を用いて、前頭葉、側頭葉を中心として脳機能計測を実施する。また以前の データと比較するため、語流暢性課題も同時に測定を行う。対象は引き続き神経性食思不振症(AN)、健常者とし、得られたNIRSデータについて、群間比較、行動結果(測定に用いる言語流暢性検査の課題遂行成績などの会話の行動成績)、臨床症状(ANの程度EAT-26、自閉性の程度AQ、体重Body Mass Index)、機能レベル(機能の全体的評定尺度GAF)や服用している向精神薬との関連を検討する。 またデータベースの機能を拡張し、より最適化された検索、登録、レポーティングシステムの開発を続ける予定である。
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