近年、DNAメチル化をはじめとしたエピジェネティックな遺伝子制御が精神疾患発症の背景にあることが注目されている。脳内のDNAメチル化は、葉酸・コリン・メチオニンといったメチルドナーを食べ物から摂取することで維持されている。本研究ではマウス脳の発達期である生後3-6週にそのようなメチルドナーの欠乏食を与えた時に、それが精神疾患発症の脆弱性につながるかを検証した。結果として、メチルドナー欠乏は、恐怖記憶の獲得とその消去に影響を及ぼし、それは成長後の12週時にも認められた。その背景としては海馬におけるDNAメチルトランスフェラーゼやNMDA受容体、GABA受容体遺伝子の発現変化が考えられた。
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