研究課題/領域番号 |
24791199
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑原 斉 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50456117)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 発達障害 |
研究概要 |
平成24年度には,申請書記載の既にサンプルを収集しexome解析が終了していた多発家系で見いだされた,FAHD2B遺伝子の新奇のストップコドンについて,自閉症スペクトラム障害(Autism spectrum disorders; ASD)の独立サンプルを用いてバリデーションを行った。東京大学のサンプル,ASD99例と健常者233例,理化学研究所所有のサンプル,ASD293例, 健常者2165例を対象にFAHD2Bの同変異の確認のため,サンガーシークエンスを実施し,ASD6例,健常者12例で変異が確認された。χ二乗検定では,p=0.02とASDと健常者の間に,有意な差を認めた。 また,ASDの家族例の解析にあたって,参考となる可能性が高い,神経発達障害であるTourette syndromeの孤発例を対象に,exome解析を実施した。Tourette syndromeの発端者と健常両親から採血を行い,DNAを抽出した。発端者,両親の計3例でexome解析を実施し,CDH13に新奇のDe novo変異を見出した。CDH13は,ADHDの連鎖解析で連鎖が報告されている16番染色体上に位置し,ADHDの全ゲノム関連解析研究で,nominalながら有意な関連が報告されている。また細胞接着因子としての役割に加えて,細胞内シグナル伝達にも関していることが明らかになっており,ADHDの原因遺伝子としてだけではなく,神経発達障害全般に関連している可能性がある。更にASDでもCDH13を含む領域のcopy number variantが報告されており,ASDとの関連も示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度の計画は①対象家系の診断面接及び末梢血採血を行う,②3例を対象にした全エクソンシークエンスを行う,③全家系構成員を対象にしたサンガーシークエンスを行う,④平成24年度中に国内の学会で中間報告を行うとしていたが,平成24年度中には遺伝様式が明確な3世代DNAサンプルの入手が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
十分に確実な遺伝様式を示す3世代家系のDNAサンプルを入手したら当初予定通りにexome解析を実施する。現在,2世代ではあるが,多発家系のサンプルを入手しており,当初予定の3世代DNAサンプルの入手が困難であった場合,この2世代家系で代替する。2世代家系は6人の家族構成員(両親,4人の子供)のうち,父親と2人の子供がASDである。従って,優性遺伝と仮定するならば,父親,2人の子供に全て共通する変異を同定することでASDの原因遺伝子が解明できる可能性は,3世代での解析と大きな差異はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に実施を予定していたexome解析を多発家系で実施する。
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