研究課題
ADHDは発達の水準に不相応で不適応な不注意や多動性又は衝動性行動を特徴とする障害で、小児期に多く認められる代表的な精神疾患である(本邦の学童で有病率2.5%)。塩酸メチルフェニデート(MPH)の治療が有効とされ、長期服用の副作用として低身長、思春期における薬物乱用また思春期における服薬アドヒアランスの低下が問題となっているにも関わらず、薬物治療効果の客観的指標がなく、症状改善後の薬物治療終了時期の判定のための基準は示されていないことが問題となっている。そこで薬物治療の終了時期判定における客観的指標を開発することを目的として研究を行った。客観的指標として、ADHDの病態を反映するといわれている抑制課題施行中の、光トポグラフィー(NIRS)の信号を用いた。ADHD児および健常児とも初回と1年後にNIRS検査を実施した。ADHD児は、初回実施時にはMPHの服薬経験がなく、その後1年間継続的にMPHを服用した。ただし、1年後のNIRS検査実施時の1週間前からMPHを休薬し、MPHをウォッシュアウトした状態で1年後のNIRS検査を実施した。小児ADHD群では、MPHによる治療を行なう以前は、健常児群を比較して、NIRS信号低下が見られるが、1年間の継続内服後には、休薬1週間後でもNIRS信号に健常児群との差が見られなくなった。本研究においては、1週間のウォッシュアウト期間を設けて実施したが、今後、ウォシュアウト期間をより長くした場合の検討を行なうことにより、小児ADHDに対する薬物療法において、服薬の頻度を低くしていく目安や服薬終了時期を示す補助的指標として、NIRSを用いることが可能になるのではないかと考えられた。
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日本生物学的精神医学会誌
巻: (in press)
Neuroimage
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