平成24年度中に、うつ病患者12名(男性10名・女性2名、年齢49.3±9.7歳)および健常対照者(男性2名)に対し、研究目的について十分説明し同意を得た上で脳磁図データの測定および頭部MRI撮像を行っていた。平成25年度には、さらに健常対照者に同様の手続きを経て脳磁図データおよび頭部MRI撮像を行った。平成24年度に実験を行った健常対照者と合わせて12名(男性10名・女性2名、年齢48.6±9.5歳)となった。 記録された脳磁場を、以下のように解析した。個人ごとの頭部MRI画像から、大脳内に5mm間隔で格子点を設定し、脳磁計とMRIの空間的位置関係を補正し、各時間における各格子点上の電流量を、空間フィルタ(sLORETA)を用いて推定した。推定された電流量をβ帯域(18~24Hz)の帯域フィルタでフィルタし、絶対値としたものを全試行で加算平均し、刺激呈示前の活動との比率で表した。脳活動を100ミリ秒おきに評価した。個人毎の頭部MRIをStatistical Parametrical Mapping 5(SPM5)を用いて空間的に標準脳化し、この情報を用いて推定された電流のデータを空間的に標準化した。各ボクセルにおいて、うつ病群と健常者群で比較することで、各時間帯における脳活動の差を比較した。単語生成条件において、両群とも似たような活動パターン、すなわち刺激呈示後約200msに後頭葉に、約300msに左外側前頭前野、運動感覚野に活動が見られる、を示していた。しかしうつ病群では対照群に比べ、運動感覚野や右後頭葉での活動が強かった。現在、さらにボクセル毎の適切な統計学的検討を行っており、先行研究の結果を踏まえて考察し論文発表する予定である。
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