平成24年度に行ったNoxaノックアウト(KO)マウスのうつ様行動(砂糖水嗜好性テスト、強制水泳テスト、社交性テスト)解析結果を確かめるため、攻撃性の高いCD1マウスに5分間攻撃させ、その後仕切りのある同一ケージで24時間飼育する社会的敗北ストレスを10日間負荷した後に、Noxa KOマウスのうつ様行動を調べる実験を繰り返し行った。すると、社会的敗北ストレス負荷したNoxa KO マウスは、社交性テストにおいて、ヘテロ(HT)マウスや野生型マウス(WT)マウスと比べてストレスに抵抗性を示し、うつ様行動が抑制された。しかし、砂糖水嗜好性テストや強制水泳テストでは、平成24年度の結果と同様に有意な差が認められなかった。これらの結果から、Noxa KOマウスは、ストレス負荷後の社交性の低下に抵抗性を示すことが示唆された。次に、Noxa KOマウスにEdU取り込みをさせ、海馬脳神経細胞の増殖能を調べた。社会敗北ストレス負荷後にEdU取り込みを行わせて、増殖細胞数を測定したが、Noxa KOマウス、HTマウス、WTマウスのいずれの比較でも、増殖細胞数に有意な変化は認めらなかった。同時に、未熟ニューロンのマーカーであるダブルコルチンとの共染色を行ったが、EdU陽性・ダブルコルチン陽性細胞数に有意な変化は認められなかった。Neuro2a細胞(神経由来細胞)に早期抗うつ効果のあるHDAC inhibitor:SAHAを投与し、神経突起伸展させた後にFoxO3を免疫沈降し、アセチル化抗体でFoxO3のアセチル化を確認したが、Non-specificなバンドが多く、アセチル化の評価は出来なかった。そのため、SAHAとFoxO3のアセチル化との関連を証明することは出来なかった。
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