研究課題
薬を内服していない急性期の統合失調症患者24名と性・年齢の一致した健常者の血液から抽出したDNAを用いて網羅的DNAメチル化修飾解析研究を行い、多くのメチル化異常を示すCpGサイトを同定した。またこれらのCpGサイトは、これまで研究・報告されてきた遺伝子プロモータ領域のCpGアイランドに限定されたものではなく、遺伝子のgene-bodyや3`-UTRにも異常を認めること、また、CpGアイランド近傍のCpGアイランドshoreやshelfにも異常を認めることを見出した。さらに一卵性双生児統合失調症不一致症例3組の血液から抽出したDNAを用いて網羅的DNAメチル化修飾解析研究を行い、薬を内服していない急性期の統合失調症から得たデータと比較し、共通の変化を示すCpGサイトの同定も行った。現在は抗精神病薬による治療開始後の血液の収集を継続して行いながら、これらのデータを用いての診断マーカーの可能性の詳細な検討を行っている。上記の研究成果は、国際学会と論文で報告を行った。
2: おおむね順調に進展している
治療前の統合失調症サンプルの収集を終え、それらのサンプルを用いて解析を行い、これまでにない新たな知見を得て、論文として報告した。研究の後半は、治療後のサンプルが必要であり、現在これらの作業を継続して行っている。この状況は本研究を開始時に予定していたことであり、本研究はおおむね順調に進展していると考えている。
抗精神病薬で治療後の統合失調症患者の血液から抽出したDNAを用いて追加の網羅的DNAメチル化修飾解析研究を行い、治療前後のメチル化の違い・変化を調べる予定にしている。また、統合失調症のメチル化を利用した診断マーカーについても治療前だけでなく、治療後を含めての検討が必要であると考えている。さらに、臨床状の治療経過を見ることによって、治療予後因子の検討も考えている。
該当なし
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