研究課題
抗精神病薬を内服している慢性期の統合失調症患者63名と健常者の血液から抽出したDNAを用いて網羅的DNAメチル化修飾解析を行い、約1000のCpGサイトで統合失調症でメチル化異常を示すサイトを同定した。統合失調症で高メチル化を示したサイトは約50%であり、この傾向は、前年度に明らかにした薬を内服していない急性期の統合失調症患者と健常者を比較した結果から得られた傾向とは異なるものであり、この差異には抗精神病薬が関与している可能性が示唆された。DNAメチル化は、SAM (S-adenosylmethionine)をドナー基質としてDNMT (DNA methltransferase)の作用で付加され行われる。SAMは脱メチル化体としてSAH (S-adenosylhomocystein)を生じ、これが加水分解されてホモシステインができる。これらのDNAメチル化に関わるone-carbon metabolism経路に注目し、血漿ホモシステイン濃度が末梢血のDNAメチル化レベルに影響するかどうかを検証を行い、特定の遺伝子のメチル化レベルがホモシステイン濃度に関係することを明らかにした。この結果により、統合失調症の独立したリスクであると報告されてきた高ホモシステイン血症の統合失調症における新たな分子メカニズム解明に関与する可能性が示唆された。上記の結果の一部は、国際学会と論文で報告を行った。
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