本研究では、統合失調症患者の自律神経活動動態を包括的に評価し、メタボリックシンドロームとの関連を検討した。統合失調症患者211名と健常成人44名の比較では、患者群で、交感神経活動、副交感神経活動ともに有意に低下していた。また、患者群の抗精神病薬の高用量群では、低・中用量群より自律神経活動の有意な低下がみられた。一方、患者群のアドレナリンβ3受容体Trp64Arg遺伝子多型と自律神経活動には関連はみられず、メタボリックシンドロームとの関連もみられなかった。本研究から、統合失調症者では自律神経系の機能が低下しており、抗精神病薬が用量依存性に影響していることが示唆された。
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