中枢神経症状を合併するベーチェット病の早期発見、早期介入を目的に研究を進めてきた。前年度に引き続き、患者の研究参加への同意が得られなかったり、病状として評価目的の検査が行えないケースなどもあり、対象患者数は当初予定していたよりも増えることはなかった。そのため、昨年度までに登録した患者のその後のフォローアップを行うなかで、頭部MRI検査、頭部SPECT検査、WAISⅢなどの神経心理学的検査を半年、一年以上のスパンで再検査することで、そのデーターより病状の変化、神経ベーチェットの治療評価も行った。 特に、神経ベーチェットの前段階と考えられているSubclinical Neuro Behcetと診断された患者のうち、早期からメトトレキサートやインフリキシマブなどの免疫治療を導入された4症例についてその治療効果について第28回日本総合病院医学会総会でポスター発表を行った。神経ベーチェットは慢性進行性の病気であり、また治療の選択肢が少ないことが問題であるが、これら4症例については観察期間中に明らかな病状の進行は認めておらず、免疫治療の早期導入の有効性について、その可能性が示唆された。本発表のように、神経ベーチェットの治療効果について、認知機能や精神症状の面から評価を行った報告は数少ないことから、意義深い報告となった。しかし症例数は依然少なく、また観察期間も短いことから、論文報告にはもう少し症例の蓄積と観察期間の延長が必要と考えられた。
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