研究課題/領域番号 |
24791223
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
中前 貴 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50542891)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 強迫性障害 / 核磁気共鳴画像(MRI) |
研究概要 |
強迫性障害(obsessive-compulsive disorder: OCD)の病態生理には前頭皮質-線条体回路の関与が示唆されているが、これまでの研究からは島皮質の脳構造異常ならびに脳機能異常も見いだされており、本研究では、OCDの病態生理において島皮質がどのように関与しているかを、複数のMRIモダリティーを用いて検証することを目的としている。 初年度となる平成24年度には、予定通り15名のOCD患者と、年齢や性別を合わせた15名の健常者のMRIデータを比較する予備的な解析を行った。 灰白質体積、皮質厚、白質の緊密度の指標となるfractional anisotropy (FA)について、それぞれ、SPM8のextension toolであるVBM8、FreeSurfer、FSLを用いて解析を行ったが、2群間に有意差は認められなかった。安静時機能的MRI、脳溝の走行の指標となるgyrification indexについての評価はまだ行っていない。 有意差を認めない理由のひとつとして、サンプルサイズの問題も大きいと考えられたため、研究計画の一部を変更し、当施設で収集したMRIデータを多施設共同研究グループであるOCD Brain Imaging Consortium (OBIC)に提供し数百人単位の大規模な解析を実施したところ、前頭皮質-線条体回路に含まれる背内側前頭皮質、前部帯状回、下前頭回とならんで、島皮質においても灰白質体積の減少が認められ、本研究の仮説の一部が実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度となる平成24年度には、予定通り15名のOCD患者と、年齢や性別を合わせた15名の健常者のMRIデータを比較する予備的な解析を行うことができており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度にはOCD患者30名、健常者30名程度までサンプル数を増やす予定である。 白質の評価法として、当初はFSLを用いたTract-Based Spatial Statistics (TBSS)による解析を予定していたが、この解析法だけでは特定の線維のFA値を評価することができないため、Probabilistic Tractographyの手法を用いた解析も行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
MRI画像データの解析について他施設の専門家との協議を深めることを検討しており、そのための旅費を計上する予定である。
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