研究課題
強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder:OCD)の病態生理としては前頭皮質-線条体回路の異常が示唆されている。我々は、OCD患者20名、健常者20名の拡散強調画像を用いて、線条体をseed ROI(関心領域)、眼窩前頭皮質、背外側前頭皮質、背側前部帯状回をtarget ROIとしてconnectivity-based parcellationと呼ばれる解析法を用い、各前頭皮質領域から線条体に投射する線維がどのように分布しているのかを調べた。線条体の各ボクセルにおいてOFCからの投射をうける確率を表すconnectivity mapを標準座標に置換し、重心のZ軸(腹側-背側)座標を両群間で比較したところ、OCD群ではZ軸座標が大きい、すなわち、OFCから投射される線維がより線条体の背側部にまで及んでいるという結果が得られた。さらに、確率論的トラクトグラフィーを用いてOFCと線条体の間の線維を描出し、両領域間の構造的結合の強さを反映するfractional anisotropy(FA)値を測定したところ、健常群と比べてOCD群でFAが高かった。これらの結果から、OCDの病態生理の一部は、OFCから線条体に投射する線維の構造的変化によって説明できると考えられた。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
PLOS ONE
巻: 9 ページ: e112075
10.1371/journal.pone.0112075