大脳皮質形成・神経ネットワーク形成障害は思春期・成人期以降の精神疾患発症リスクを高めるという報告は多数ある。また、疫学研究より胎生期ストレス/グルココルチコイド曝露も発症リスクを高めるとされている。そこで本研究では胎生期グルココルチコイド過剰曝露モデルを用いて、1. 大脳皮質形成障害 2. 神経分化およびネットワーク形成過程障害を解析し、精神疾患発症リスク形成過程の分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。平成24年度は初代海馬神経培養細胞を用い、神経分化、とりわけグルココルチコイドがスパイン形成へ与える影響を解析した。そこで、平成25年度はネットワーク形成への影響を解析している。平成24年度には生後42日目の胎生期グルココルチコイド曝露ラットを用い拡散テンソル撮像法にて解析を行った結果、白質における軸索走行が曝露群でより異方性となることを見出した。そこで、平成25年度は、その分子メカニズムを明らかにすべく、軸索伸長、化学誘引物質関連、白質構造形成に関与あるとすでに報告のある遺伝子群を対象とし、原因遺伝子の同定を行うことにした。軸索形成期である生後14日目、すでに白質構造形成が終了している生後42日目ラットを対象にRealtime PCR法によって網羅的検索を行った。結果、生後14日目でのみ発現減少を認める遺伝子を同定することが出来た。本研究期間内では、同定遺伝子の機能解析には至らなかったが、今後の研究で明らかにする予定である。
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