樹立したELマウス由来ES細胞の分化誘導においては、NSS法を適宜改良して用いた結果、浮遊培養(4日間)に伴い、効率良くEmx1陽性神経系細胞へと分化した。また、浮遊培養を更に継続した場合、分化した神経幹細胞が神経細胞のみならず、アストロサイトへと分化する傾向が強い事が示された。この多分化能に関わる性質は、C57BL/6由来のES細胞とは異なった。よって、増殖因子等を積極的に加えていないNSS法での浮遊培養条件においては、神経系細胞への終末分化に関わる因子への応答性などELマウス由来NSCの生物学的特徴を反映したものと推測した。
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