研究課題/領域番号 |
24791232
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤城 弘樹 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (20536924)
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キーワード | 脳機能画像 / FDG-PET / 脳血流SPECT / レビー小体 / 神経原線維変化 / アミロイド / レビー小体型認知症 / アルツハイマー病 |
研究概要 |
改訂されたDSM-5において、Neurocognitive disorderというカテゴリーが記載され、この診断基準は、病理学的背景を意識したものであり、MajorとMinorに認知機能障害の程度で分類され、認知症のみならず、前駆状態である軽度認知機能障害も疾患概念に組み込まれている。しかし、各変性性認知症の前駆状態は多様であることから、神経画像、血清・髄液検査などの生物学的マーカーによる早期診断が重要となっている。本研究では、脳機能画像であるPET/SPECTを用いた画像パターンと臨床経過に注目した臨床研究と病理診断に至った剖検例による画像所見を含めた臨床病理学的検討を行った。その結果、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies: DLB)では、一次視覚野の糖代謝低下が認知症発症に先行する症例があることを明らかにした。さらに、ベースラインの画像パターンにより、認知機能が保持される症例群と認知機能低下が進行する症例群が存在することを明らかにした。症例群を比較した場合、糖代謝低下が一次視覚野に限局する場合は、観察期間中認知機能低下は進行しなかった。一方で、一次視覚野に加え、頭頂葉、外側後頭葉に糖代謝低下を認める場合は、観察期間中に認知機能低下を示した。DLBの前駆状態における脳機能画像所見の報告はなく、更なる症例数の蓄積が必要である。また、剖検によってアルツハイマー病やレビー小体病と病理診断が確定した症例を後方視的に検討し、認知症発症前に様々な精神症状が先行する可能性について報告した。神経変性性認知症の前駆期を含めた罹病期間は長期に及ぶため、継続した縦断的な臨床病理学的検討が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主に神経画像を用いた臨床研究と剖検例を用いた臨床病理学的検討を同時並行して行っており、多数の知見を得ているため。
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今後の研究の推進方策 |
神経変性性認知症における臨床病理学的検討の場合、神経画像検査施行時と、剖検に至るまでに時間的隔たりがあり、工夫が必要と考える。本研究期間中に有効的方法として、現在行っている「縦断的視点に基づいた神経画像を用いた臨床研究」と「剖検例を用いた臨床病理学的検討」を同時並行して、引き続き検討していく。
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