最も頻度が高い変性性認知症であるアルツハイマー病(AD)とレビー小体型認知症(DLB)において、認知症発症前の神経画像を含む前駆症状の相違について明らかにした。病理学的亜型としての海馬保持型のADでは、病初期に記憶障害は目立たず、臨床症状に対応する脳局在部位の症状が前景化する可能性を臨床病理学的に報告した。またDLBでは、便秘などの自律神経症状、嗅覚障害やレム睡眠行動障害が先行し、これらの病歴聴取や後頭葉一次視覚野の糖代謝低下により早期診断の契機となることを報告した。さらに一次視覚野に加え、外側後頭葉、頭頂葉の糖代謝低下を認める症例では、認知機能低下が進行していた。
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