研究課題/領域番号 |
24791242
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
堤 淳 大阪医科大学, 医学部, 助教 (40388278)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 精神科治療の生物学的指標 |
研究概要 |
現時点において、m-ECT前後でNIRSを施行した患者は合計14名である。その内訳は、抑うつ状態の遷延している群の8例、統合失調症(メンテナンスECT中)の3名、そして統合失調感情障害(再発2名、初発2名)の4名である。 抑うつ状態の遷延していた群(双極性障害、大うつ病)では、ECT前において重症な程NIRSの積分値は小さい傾向がみられた。双極I型のうつ状態、精神病症状、昏迷状態の症例は、臨床症状に加えてNIRSの積分値も顕著に改善し、ECTの効果を期待できる臨床像と考えられた。メンテナンスECTを行っている統合失調症では、NIRS(積分値)の減少が精神症状の悪化と一致し、メンテナンスを継続するか一旦1クールECTを行うかの生物学的な指標の一つにNIRSがなる可能性が示唆された。統合失調様障害の再発群で、NIRSの積分値は初発例と比べ有意に低く(前頭部p=0.031,側頭部p=0.062)、予後的な指標(再発を繰り返すか)の一つにNIRSがなる可能性が示唆された。症例数が少ないため、今後症例数を増やし今回の結果を検討していく。さらにメンテナンスECTの終了時期の判断基準についてNIRSの傾向を探っていく。 上記の内容を、平成25年7月23日に福岡で開催される第109回日本精神神経学会にて発表を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現時点で得られてきている結果は、今後英文雑誌に投稿できる内容と考えている。しかし、症例数が少ない点で現在までの達成度としては、やや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
症例数を増やし、現在得ている結果を再検討していく。 現時点では、メンテナンスECTをいつまで継続すべきかの結果は得られていない。メンテナンスECT前後のNIRSの積分値やパターンのデータを収集しBPRSとの関連を分析していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
症例数を増やすと同時に、NIRSデータの精度をあげる必要がある。そのためにはNIRS施行時の環境面の向上が必要である。現時点では、CR-G2023JIBアベインチェアを購入しているが、さらにパソコンスクリーンの設置条件など検討し必要な物品を購入していく予定にしている。
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