研究実績の概要 |
統合失調症患者の復職や就労率は非常に低い。また、健常勤労者と比較しても収入が低いことが明らかとなった。さらには、復職者は未復職者、非就労者と比較して有意に認知機能の程度が低いことを明らかにした。 統合失調症患者の復職成功のポイントの一つは神経認知機能障害、陰性症状である。また、認知機能障害のバイオロジカルマーカーとして血中BDNF濃度であることが明らかとなった(Hori et al., in submission)。また、勤労者統合失調症患者の意志決定能力は健常者と比較して低く、それは血中BDNF濃度や抑うつ症状との関連が示唆された(Hori et al., Fontiers in Behav Neurosci 2014)。しかし、BDNFの機能的遺伝子多型であるrs6265と認知機能との関連はないことも明らかとなった(Kishi et al., Psychiatry Res 2014) 統合失調症患者の認知機能障害や社会機能障害との関連から薬物療法の工夫について検討したところ、多剤併用療法がなされている患者に対して単剤治療に切り替えることで、注意力・処理速度の改善やdaily living, work skillsの改善が見られることが分かった(Hori et al., Journal of psychiatric research 2013)。また、急性期治療でBlonanserinやRisperidoneを使用することで認知機能の中でも言語流暢性機能や遂行機能の改善、またBlonanserinでの治療はRisperidoneの治療に比べてdaily livingの改善が有意に大きく、薬剤間での差異があることが分かった(Hori et al., Neuropsychiatric Disease and Treatment 2014)。 これら薬物療法の工夫を行うことで薬剤性認知機能障害の最小化につながる可能性がある(Hori et al., International Journal of Neurology and Neurotherapy 2015)
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