研究課題
若手研究(B)
1.患者への共感低下の背景にある脳機能メカニズムを検討するために、健常者において他者の痛み表情の真偽判断をfMRI撮像中に実施した。プライミング手法を用い、ポジティブなことばとネガティブなことばを表情を見せる直線に短提示し、情動の影響を検討した。行動解析では、ポジティブなことばに続く痛み表情に対して、詐病と判断する割合が低下した。現在fMRIデータ解析中である。2.安静時脳活動から痛みに関連する脳機能ネットワークを抽出し、共感能力、線条体ドーパミンとの関連を検討した。共感能力の4側面(他者理解、共感的配慮、不快感、想像力)はそれぞれ痛みネットワーク内の異なる脳領域と関連し、線条体ドーパミンが関連する脳領域と一部重複していることが判明した。結果を学会で公表した。3.ドーパミンと共感性の欠如の一側面としてしられるマキャベリ的知性との関連を検討し、前頭葉眼窩面、側頭葉内側部のドーパミンD2受容体密度とマキャベリ的知性の関連を見出した。現在論文作成中である。
2: おおむね順調に進展している
心理的リアクタンスのモデルを作成するための、基礎的検討をfMRI、PET、行動実験を用いて実施し、順調にデータ取得と解析を行っている。得られた結果について、学会での成果報告も行った。
詐病判断のfMRIデータ解析を完了し、詐病判断と共感に関連する脳機能メカニズムを明らかにし、論文投稿を予定する。ドーパミンとマキャベリ的知性、共感との関連を明確にし、共感の反発や同情低下などの現象を説明しうる認知神経科学的モデルの構築のためのデータを蓄積する。
学会発表、論文校正と投稿、脳画像解析、認知課題提示PC、など
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
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