研究課題/領域番号 |
24791254
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
太田 深秀 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第三部, 室長 (00582785)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | PET |
研究概要 |
近年脳画像イメージング技術の発展に伴い精神疾患においても、機能的磁気共鳴画像(fMRI)や拡散テンソル画像(DTI)などの手法が既に応用されている。しかしこれらは大脳の形態もしくは神経ネットワークの異常の解明には有用であるが、各種モノアミンによる神経活動の検証はできない。統合失調症では従来よりドーパミン作動性神経の異常が病態、病因に関与していることが指摘されており、また中枢刺激薬によりドーパミンが過剰に放出される事が明らかとなっている。しかし臨床場面で診断に応用するまでにはいたっていない。そこで本研究ではポジトロン断層法(PET)を用い、統合失調症モデル動物および統合失調症患者における中枢刺激薬の反応性を解明し、統合失調症の診断法の開発を目的とする。 方法としては7週齢のSprague–Dawleyラットに対してメチルフェニデートの単回投与前後で[18F]fallyprideを用いたPET検査を行い脳内におけるドーパミンD2受容体の密度を測定、そこからドーパミン放出量を推測する。次にメタンフェタミンの投与により統合失調症モデルとしたラットに対してもう一度メチルフェニデートの投与前後でPET検査を行い、脳内における中枢刺激薬への反応性の変化を検証する。 平成24年度には当研究施設における[18F]fallyprideの合成実験および品質検定や、ドーパミン受容体測定方法の検討を行い、[18F]fallyprideの解析方法を確定した後、実際に4匹の統合失調症モデルラットに対して上記試験を行った。今後は症例数を追加し、PETによる統合失調症モデルラットのメチルフェニデート過敏性の検証の有効性が確認されたのち前臨床試験、臨床試験へとシフトしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度には、国内ではほぼ使用実績のない核種である [18F]fallyprideの合成が滞りなく実施可能となったこと、解析に必要な周辺環境が整ったことなど、当施設におけるPET稼働開始一年目としての進捗としては比較的良好であると思われる。 まず最初に行った統合失調症モデルラットに対しての試験も平成25年度早々には終了し、次の段階の実験への推移も問題なく行われるものと期待している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には統合失調症モデルラットを用いた実験の追加および、薬物を用いずに作成した統合失調症モデルラットに対するメチルフェニデート過敏性の検証を行う。その後マーモセットといった霊長類やヒトを対象とした研究へと推移していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に必要な経費として主なものに、PET研究に必須なリガンド合成にまつわる薬品代(Tossy-fallyprideや18-O水など)および消耗品があげられる。また実験動物の購入や、その飼育に必要な物品も経費として計上する必要がある。
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