研究課題
ヒトペルオキシレドキシン2(PRX2)のN末端にウミシイタケのルシフェラーゼの改変タンパクRluc8を融合させたドナープローブRluc8-PRX2とPRX2のN末端にVenus cp173を融合させたアクセプタープローブVenus cp173-PRX2を発現するベクターをHEK293細胞に共発現させ、PRX2の二量体形成による生物発光共鳴エネルギー移動(Bioluminescence resonance energy transfer: BRET)に由来するシグナルをモニターした。HEK293細胞ではPRX2の単量体への解離を促進するチオレドキシンレダクターゼや過酸化水素を分解するカタラーゼの活性が高いため、これらの酵素の阻害剤を用いて、過酸化水素による同調を行ったところ、約25時間周期のリズムが観察できた。末梢血から分離した網状赤血球にin vitro転写で合成したRluc8-PRX2とVenus cp173-PRX2をコードするmRNAを導入したが、発現は確認できなかった。しかし、エレクトロポレーションやリポフェクションを用いて蛍光標識した抗体を成熟赤血球に導入できることは確認できたため、精製したBRETプローブも同様に赤血球に導入できると考える。最終年度はリズム障害患者の赤血球の概日周期を測定する計画であったが、研究代表者が平成24年10月より現在の所属に転職したため、リズム障害患者の測定を行うことができなかった。しかし、平成26~27年度の科研費の研究でBRETプローブを赤血球に導入し、睡眠時無呼吸症候群の患者の概日リズムを測定する計画である。以上の研究から、BRETを用いたPRX2の概日リズムの測定系を構築することができた。これらの成果は視交差上核の中枢時計と末梢組織の末梢時計の位相が解離している内的脱同調の発症メカニズムの理解に寄与できると考える。
すべて 2013
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Sci Rep
巻: 3 ページ: 1-7
10.1038/srep02074