研究課題
動体追跡放射線治療では、体内に留置した金属マーカーを二方向から秒間30 フレームでX 線透視し、その正確な三次元位置をリアルタイムで計測する。これにより、呼吸にともなって動く腫瘍を所定の位置にきたときのみ照射することが可能となる。しかし、二方向からのX 線透視装置を必要とする現行のシステムでは、連続X 線透視による被曝が解決すべき一つの課題となっている。本研究では、単一のX 線透視装置のみにより、従来と同等の計測精度で体内マーカー位置の三次元計測を実現することにより、X 線透視による被曝の半減と装置のコンパクト化を図ることを目的としている。平成25年度は、(1)一方向X 線透視による高速三次元位置計算アルゴリズムの開発、および(2)最適な透視角度の検討、を実施した。(1)については、Newton法をベースとした解の探索法を採用した。開発当初は、初期値の設定により、意図しない解へ収束する場合がみられたが、あらかじめ治療計画からおおよその値を推定し、それを初期値とすることで、追跡開始時の局所解への収束を防ぐことができた。また、呼吸運動を想定したシミュレーションでは、現フレームでの解を次フレームの初期値とすることで、解への収束時間を短縮することができ、リアルタイムでマーカー座標を得ることができることを確認した。(2)については、3つのマーカーで定義される平面に対して、垂直方向にX線透視の軸を合わせることで、計算精度を向上できることを示した。
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