研究課題/領域番号 |
24791269
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
神宮 啓一 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00451592)
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キーワード | 放射線心筋障害予防効果 |
研究概要 |
当施設の動物実験倫理審査通過後、γ線照射装置の使用登録を行った。 高エネルギーの放射線による心筋線維化に対するナトリウム利尿ペプチド製剤による予防効果の有無を示す目的の動物実験を開始した。 マウス30匹を購入し、そのうち20匹にγ線照射装置により上半身照射8Gy単回照射(下半身は鉛板を加工し遮蔽)を行い、その後飼育中である。現時点でまだ2ヶ月経過したところであるが、懸念された重篤な食道炎や肺臓炎もなく、1匹も死亡することなく飼育中である。これらのうち10匹にはγ線照射後2週間より5日間心房性ナトリウム利尿ペプチド製剤を連日0.1μg/kg/分で投与し経過観察中である。この製剤投与による副作用は認めなかった。 残りの10匹は対照群として放射線照射は行わずに飼育中である。 現時点ですべてのマウスに心不全兆候はなく、体重増加・呼吸状態共に安定している。情報収集のため放射線腫瘍学・生物学の学会や研究会に参加し、放射線心臓障害に関する臨床における発表も行ってきた。臨床においてもMRI上で心筋の変化が生じていることを報告した。この報告は第26回日本放射線腫瘍学会にて優秀演題賞を受賞した。この結果は本研究の妥当性を担保する結果であった。また今後行う予定であるマウスの心臓MRI撮像のため共通機器室の小動物用MRIの使用説明会にも出席し使用許可を得た。照射後3ヶ月、6ヶ月の時点でのMRI撮像を予約しており、終了後に病理学標本との対比を行うつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は今年度中にすべての実験を終える予定であったが、γ線照射装置の利用申請などに予想外に時間が掛かったことから2014年末より動物実験を開始することとなったため。その後は予定通りに進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、照射後3ヶ月となることから心臓の状態を把握すべく当施設保有の小動物用のMRIにて途中評価を行う予定にしている。その後は6ヶ月経過時点で再度心臓MRIを撮像し、その直後にすべてのγ線照射済みのマウスを安楽死させナトリウム利尿ペプチドの心筋保護作用の効果を評価する。なお、計画当初は心臓エコーでの評価を考えていたが、より客観性に富み画像が鮮明に得られるMRIにて評価することとした。 その結果は2015年日本放射線腫瘍学会総会あるいは米国放射線腫瘍学会で報告を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験開始の時期がおくれたために、マウスへのガンマ線照射後の飼育期間が不足しており、まだ晩期放射線障害の生じる時期でないため飼育料が次年度に持ち越しとなった。また晩期障害を画像評価するための小動物MRI使用料および安楽死後の心臓病理プレパラート作成費用がその後に生じるために次年度使用額が生じた。 引き続きマウスの飼育費および心臓MRI用の使用料、心臓病理プレパラート作成費用として平成26年度分と合わせて使用予定である。
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