研究課題
平成25年度は、溺水症例の死後CTにおける副鼻腔内貯留液と遺体発見現場(海、川、風呂など)との相関性に関して検討した。2009年5月から当施設で死後CT検査および法医学解剖が行われた641症例から、高度な腐敗や診断困難な症例を除外し、剖検で溺水と診断された106症例を選出した。液貯留の頻度や測定の難度を考慮し、上顎洞と蝶形骨洞に的を絞って検討することとした。また場所に関しては、海水と淡水間、風呂とそれ以外の淡水間で比較することとした。貯留液のvolumeと濃度を3D医用画像処理ワークステーションで測定し比較したところ、volumeには場所による差が認められず、volumeから溺水場所を推定することは不可能であると考えられた。一方濃度に関しては、淡水溺水よりも海水溺水の方が統計学的有意に高く(p=0.0003)、cutoff値43.71 HUの時、海水溺水の診断能は感度68%、特異度79%、陽性的中率46%、陰性的中率90%となった。この内容の一部は2014年3月に開催されたEuropean Congress of Radiology 2014にて発表済で、また全体を現在論文執筆中である。肺のvolumeおよび平均CT値測定による肺重量推定に関しては、肺野は様々な死後変化が生じやすく、臨床と同様の方法では測定が困難であり、本研究の期間中に有効な測定法を生み出すことはできなかった。
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Eur J Radiol
巻: 82 ページ: e562-e566
10.1016/j.ejrad.2013.06.015