研究課題/領域番号 |
24791276
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
齋藤 淳一 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70572816)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 放射線抵抗性 / 低酸素 / mTOR / HIF-1 |
研究概要 |
低酸素条件下の細胞は放射線抵抗性を示すことが知られている。mammalian target of rapamycin(mTOR)はAkt-PI3 kinase経路の下流の蛋白であり、近年、mTORが低酸素条件下の細胞生存に関連する蛋白として注目されており、低酸素条件下の放射線治療抵抗性にmTORが関連している可能性を考え、通常酸素状態・低酸素状態におけるmTOR阻害剤による放射線感受性の修飾について比較・検討した。実験にはヒト肺腺癌由来細胞株A549を使用した。mTOR阻害剤は最終濃度1nMに希釈し、X線照射前48時間、A549に暴露させた。低酸素条件として、低酸素照射機(京都科学)を使用し、酸素分圧<0.1mmHgの条件で24時間培養の後に照射し、そのまま1時間<0.1mmHgで培養した後に、細胞のタンパク質発現に関してはウェスタンブロット、細胞生存率はcolony assay法により解析した。また、細胞の生存が10%の値となる線量(D10)から酸素増感比を求めた。その結果、通常酸素条件下、低酸素条件下ともに、mTOR阻害剤併用群においてmTORの発現は同様に抑制された。また、mTOR阻害剤併用により、低酸素条件下で誘導されるHIF-1aの発現が減少していることが確認された。X線単独での、通常酸素条件、低酸素条件下のD10は、それぞれ5.1Gy、14.2Gyで、酸素増感比は2.8であった。mTOR阻害剤を併用した場合では、通常酸素条件・低酸素条件下のD10は、それぞれ4.8Gy、5.4Gyで、酸素増感比は1.1であった。mTOR阻害薬の併用により、低酸素条件下で放射線増感効果が認められ、mTORが低酸素細胞の放射線治療抵抗性に関連する因子である可能性が示唆された。その作用メカニズムにはmTOR阻害薬によるHIF-1a発現低下が関連している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロニー形成法による細胞生残率の評価、および低酸素分画に対するmTOR阻害剤の増感効果については予定通りの解析が進められている.ただし、ウェスタンブロットでの検証は一部検討を必要とするものがある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度については前年の実験計画の検証を引き続き行う。特にウェスタンブロットの再現性、定量的解析は課題である。また、上記検討をX線のみでなく、炭素イオン線を用いた場合における増感効果の可能性について検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
残額はわずかであり、細胞培養液、もしくはフラスコなどの物品への用途である。
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