研究概要 |
本研究の目的は、放射線照射後の腫瘍組織の経時的な変化と、それが白金製剤含有高分子ミセルの集積性に与える影響を明らかにし、化学放射線療法への応用に向けて、最も治療効果の高い併用方法を考案することである。平成24年度は、マウス皮下腫瘍モデルに対し、X線照射1~3週間後の腫瘍の病理解析と蛍光ミセルの集積性の評価を行った。平成25年度は定量的な集積の評価に加え、照射後すぐの短期的な影響について評価を行った。平成25年の実験は以下の通りである。 マウス(Balb/c nu/nu, メス, 5週)の大腿部にSAS(ヒト頭頸部癌)細胞を皮下移植し、腫瘍部以外を鉛板で遮蔽しながら、麻酔下でX線(200kV, 1.3Gy/min)4, 8Gyを1回照射した。照射してから0, 1, 2, 3, 5, 7日後に、シスプラチン含有高分子ミセル5mg/kgを投与し、24時間後に腫瘍を摘出し、ICP-MSにて白金含有量を測定した。照射3日後の集積がピークとなり、照射しない場合と比べて、4Gyでは1.5倍、8Gyでは2.4倍の集積量であった。また、0~16Gyを照射して3日後の病理切片を作成し、炎症の度合いを評価したところ、8Gy以上で顕著な炎症が認められた。炎症の度合いと集積量との間に明らかな相関は得られなかったが、X線照射による初期の反応(炎症や血管透過性の向上)により、シスプラチン含有高分子ミセルの集積量が変化することが明らかになった。また、8Gy照射3週間後では、同じ大きさの未照射の腫瘍と比べて2割減少した。24年度に行った病理解析の結果、3週間後には線維化が起きることが分かっており、これによりナノ粒子の集積が阻害されたと考えられる。
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