研究概要 |
1. 肝細胞癌症例の集積:2008年4月から2013年3月までの間にGd-EOB-DTPA造影MRIが施行された肝細胞癌症例で、外科的切除された病変を約100結節、生検された病変を約140結節を集積した。Gd-EOB-DTPA造影MRI 肝細胞相で高信号を呈する肝細胞癌は28結節、残りは低信号を呈する肝細胞癌であった。 2. 肝細胞癌患者の血清腫瘍マーカー値の評価:血清AFP、AFP-L3分画、PIVKA-IIは高信号肝細胞癌で有意に低値を示した(P=0.003、0.004、0.026)。また、これらの血清値とGd-EOB-DTPA造影MRI肝細胞相での増強率とは負の相関を示した(P=0.02、0.007、0.009)。 3. 肝細胞癌標本の組織学的評価:組織学的に高信号を呈する肝細胞癌は有意に分化度が高く(P=0.028)、偽腺管形成型の増殖様式の頻度が高く(P<0.0001)、門脈浸潤の頻度が低かった(P=0.039)。 4. 肝細胞癌標本の各種マーカーの免疫染色:免疫染色の検討では高信号肝細胞癌はAFP, PIVKA-II, EpCAM, Glypican3の発現が有意に低く、OATP8, HepPar-1, β-cateninの発現が高かった(P<0.05)。 以上の結果より、EOB-MRI肝細胞造影相で高信号を示す肝細胞癌は、生物学的な悪性度が低い一群である可能性があると考えられた。
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