研究課題/領域番号 |
24791283
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小坂 一斗 金沢大学, 医学系, 助教 (80547175)
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キーワード | 肝幹細胞由来癌 / 混合型肝癌 / 硬化型肝癌 / 細胆管細胞癌 / 中間型肝癌 |
研究概要 |
混合型肝癌ステムセルサブタイプの動注CT所見の検討をした。すなわちWHO分類4版(2010年)でステムセル様所見を呈する癌が混合型肝癌のサブタイプに加えられたが、これらの癌のサブタイプに応じた動注CT所見を検討した。 外科切除標本を対象として組織形態学的および免疫組織化学的にて混合型肝癌ステムセルサブタイプと診断された10例(平均腫瘍径28.8±21.4mm(7-85mm)、背景肝疾患:LC-C 2例、LC-B 3例、ASH 1例、NASH 1例、バッドキアリ症候群 1例、正常肝 2例)を対象として。内訳はtypical subtype (TS型) (n=4), intermediate subtype (IS型) (n=2), cholangiolocellular subtype (CS型) (n=4)であった。全例AG-CT(CTHA, CTAP)が施行されており、術前のTACE、RFAは施行されていない。画像所見をHCC型(早期濃染~洗い出し像)、CCC型(乏血~リング濃染、漸増性濃染)、スキラスHCC(s-HCC)型(早期濃染~遅延濃染、コロナ濃染を伴う)、細胆管癌(BDC)型(早期濃染~遅延濃染、早期に腫瘍周囲濃染を伴う)に分類した。 混合型肝癌ステムセルサブタイプの動注CT所見の内訳はBDC型は6例(TS 2例、CS4例)、CCC型1例(IS)、HCC型1例(TS)、s-HCC型2例(TS 1例、IS 1例)であった。HCC型の1例を除き、全例で遅延濃染を認めた。混合型肝癌ステムセルサブタイプは様々な動注CT所見を呈するが、典型的HCC、CCC所見を呈することは少なく、多血であること、遅延濃染を呈することが多いと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
集積された腫瘍の組織学的評価として、各種免疫染色(Sirius red stain, CD34, αSMA, EVG,トギンなど)を行った。細胆管細胞癌においては腫瘍内線維性間質の定量化、血洞および壊死域の半定量的評価を行い通常型肝内胆管癌との比較を行った。画像所見評価に関しては前年度に引き続き腫瘍と腫瘍周囲の濃染態度について解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はその他の臨床画像すなわちGadolinium ethoxybenzyl diethylene triamine pentaacetic acid (Gd-EOB-DTPA)造影MRIによるT2強調像・T1強調像・chemical shift imaging・拡散強調像・肝細胞相画像の解析を加える。また病理組織学的に腫瘍増殖形態や新たな免疫組織化学マーカー(S100Pなど)による検討を加える。さらに多血・遅延濃染を呈するその他の肝腫瘍すなわち転移性肝癌と肝内胆管癌との差違も検討する。順次得られた知見を論文報告として準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究対象の肝腫瘍に対する免疫組織学的染色では、必要な試薬などは既存のもので代用可能であった。また英文校正や学会出張なども最低限で済んだため、前年度は必要最低限の備品購入のみで済んだ。 本年度は研究課題の最終年度であり、国際学会などでの発表が控えている。また追加実験における試薬の調達および英文校正費などが必要となる予定である。
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