研究課題/領域番号 |
24791288
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山崎 雅弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40595526)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 磁気共鳴画像法 / 内耳の生理的薬物動態 / ガドリニウム造影剤 / 放射線医学 |
研究概要 |
経静脈的に投与されたガドリニウム造影剤は内耳の外リンパに移行し、MRIによる内リンパ水腫描出を可能にする。経静脈的に投与されたガドリニウムの内耳における正常動態は疾患の診断・病態研究に必要不可欠な基礎的知見であるが、十分に解明されていない。本研究の目的は、経静脈的に投与されたガドリニウム造影剤の健常者の内耳における動態をMRIを断続的に複数回撮像することにより明らかにすることである。当初の計画における主たる具体的研究項目は、1. 経静脈的ガドリニウム投与後のMRI断続撮像の至適撮像時間・間隔の実験系の構築、2. 内耳外リンパ信号強度の経時的変化を評価することによるガドリニウム動態の定量解析、である。 当該年度は初年度であるため、研究を円滑に進めるためにまず解析用コンピューター等のハードウェアとソフトウェアを購入した。また、実験に必要なガドリニウム造影剤を消耗品として購入した。加えて、本研究に関連する研究の研究成果の学会発表における経費、論文発表のための経費に研究費を用いた。当該年度に関連研究として学会および研究会で発表した演題は9件(うち国際学会は5件)、発表した論文は9件(すべて査読あり英文国際誌、うち2件は当該年度最終日時点でEpub ahead of print)である。 本研究の進展状況は以下のとおりである。まず初年度である当該年度には被験者の負担や疲労を考慮し、実験系を確立した。具体的には1回の撮像に要する時間や撮像タイミング(単純、造影直後、造影後1.5時間、3時間、4.5時間、6時間)といった実験プロトコールを決定した。この実験系に基づき、当該年度にすでに6名の被験者につきMRI画像や副作用の有無についてのデータ収集に成功している(当初の想定被験者数は10名)。次年度以降も引き続き被験者数を増やした後に、統計学的な手法を用いたデータ解析を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、初年度である当該年度においては、解析用コンピューター等のハードウェアやソフトウェア、実験に必要なガドリニウム造影剤等、必要物品の購入を行った。また、関連研究の研究成果を学会および論文にて発表し、その経費にも研究費を用いた。 本研究の進展状況として、初年度である当該年度にはまず実際の撮像時間や撮像間隔等の実質的に施行する実験系のプロトコールを確立した。これに基づき、当該年度においては6名の被験者につきすでにデータ収集を施行した。当初の想定被験者数は10名であり、次年度以降も引き続きデータ数を増やした後に、解析を行っていく予定である。このように、本研究は現在までの達成度としては、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に確立した実験系に基づき、次年度以降も引き続き被験者数を増やした後に、統計学的な手法を用いたデータ解析を行っていく。 具体的には、得られたMRI画像を用いてガドリニウム投与後の内耳信号の経時的変化を定量解析することにより、ガドリニウムの正常内耳における動態を明らかにする。先行研究にて病態耳において用いた方法と同様の評価法を用いるため、方法は確立している。正常内耳におけるガドリニウム動態の解析は、内耳外リンパの造影効果すなわちガドリニウム濃度の経時的変化をダイナミックカーブを描いて定量評価する。また、経静脈的ガドリニウム投与の副作用評価による安全性の検証も併せて行う。ガドリニウム造影剤は日常臨床でも用いられており同様の投与量・投与方法で行う本研究計画の安全性は高いと考えられるが、実際に副作用の有無を評価し、安全性を検証する。 さらに、当該年度と同様に本研究および関連研究の結果をまとめて学会発表、論文発表の形で積極的に公開していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究費が生じた理由は、初年度である本年度は想定被験者数10名のうち6名の実施にとどまったことや、予定していた海外の国際学会への出席を諸般の都合によりやむなく取りやめたこと等による。 翌年度以降に請求する研究費と合わせた使用計画については、上述の「今後の研究の推進方策」に記載した通りである。
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