研究課題
仮想化内視鏡を用いて胃癌に対する病変描出率、深達度診断の正診率を評価し、腫瘍の造影効果と組織型との関連性について検討を行った。また、リンパ節検出支援ソフトウェア(以下CAD)による胃癌のリンパ節転移の診断能について検討を行った。術前病期診断のためにdynamic MDCTを撮影した胃癌患者を対象とした。仮想化内視鏡及びCADは、名古屋大学大学院情報科学研究科で開発されたソフトウェアを用いて作成した。1.胃癌の描出率は全体で66.7%(102/153)だった。早期癌の描出率は52.4%(55/105)、進行癌の描出率は97.9%(47/48)であり、有意差を認めた。2.深達度診断の正診率は81.7%であり、その内overstaging、understagingした症例は、それぞれ15.0%(23/153)、3.3%(5/153)だった。overstagingした23症例中52.2%(12/23)に、病理学的に潰瘍もしくは潰瘍瘢痕を認めた。一方、understagingした5症例は全例が低分化型腺癌かつ非充実型だった。3.腫瘍の造影効果の検討では、造影効果を認めなかった症例は全例T1病変だった。均一で強く造影されるものは分化型癌が、不均一で低吸収域を含むものは未分化型癌が多かった。4.CADによるリンパ節転移診断の正診率は69.5%(82/118)であり、リンパ節転移に対する感度は63.0%、特異度は97.2%だった。5.CADの偽陽性数は1症例あたり4.1個であり、小腸や血管、反応性リンパ節腫大、膵臓などが誤検出の主な原因であった。今後さらなるソフトウェアの改良による診断精度の向上が必要であるものの、仮想化内視鏡やCADを用いることにより、胃癌やリンパ節転移を効率的に診断、検出できる可能性が示唆された。
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