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2012 年度 実施状況報告書

光イメージング技術を用いた分子標的薬の放射線増感作用機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24791293
研究種目

若手研究(B)

研究機関京都大学

研究代表者

吉村 通央  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40597936)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード放射線治療 / 放射線増感剤
研究概要

本研究の目的は、放射線と併用することにより放射線増感作用を呈する分子標的薬の機能や抗腫瘍効果のメカニズム解析をすることである。
当方は各種ある分子標的薬のうち、ある細胞周期阻害剤Aに注目した。細胞は、細胞周期によって放射線に対する増感効果が異なり、M期にある細胞が最も増感作用が強く現れることが一般に知られている。この薬剤Aは、細胞周期をM期で止める(arrestする)特徴をもつため、腫瘍細胞の放射線増感効果を高める可能性が考えられた
そこでまずその薬剤Aが本当に放射線増感作用を持つかどうかを、in vitroの実験で検証することとした。フローサイトメトリーにより、その薬剤Aがいかなる濃度でどれくらいの時間曝露させることによりHela細胞の細胞周期を最も効率よく止めることができるのかを検証した。その結果、細胞周期を止めるための至適濃度(8nM)、至適曝露時間(12hr)が同定できた。その後、その条件で薬剤Aと放射線を併用することによって本当に放射線増感作用が得られるかどうか、Clonogenic assayによって検証した。その結果、8nMの濃度で12hrの薬剤A処理の後放射線照射をすることで、予想通り、Hela細胞で放射線増感作用を示すことが分かった。
また一方、Fucciという蛍光プローブを導入した細胞(Fucci細胞)を作成した。Fucci とは、生細胞の細胞周期の進行をリアルタイムに観察することができる蛍光プローブであり、細胞の増殖や分化、がん細胞の挙動などの生命現象における、細胞周期の時間的、空間的なパターンをイメージングすることが出来る。このFucci細胞を薬剤Aに曝露させたところ、薬剤に曝露させない細胞と比して、緑色で長時間とどまる細胞の割合が明らかに増えた。つまり、この薬剤Aが実際にM期でarrestしていることが視覚的にも確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通り、本年度は、in vitroの実験を行っている。
来年、再来年度は、in vivoの実験を行っていく予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、担癌マウスを使ったin vivoの実験で、分子標的併用放射線治療の腫瘍縮小効果を検証する。また、学内研究協力者と共同で、薬剤Aならびに放射線を加えた際の腫瘍細胞内における低酸素、細胞周期、DNA損傷の状態を光イメージング技術、前述のFucci細胞等を用いて検証する。また、分子標的薬の開発をしている薬学系、工学系の研究室、創薬企業とも共同研究を行い、放射線治療を増強させる可能性を持つ新規分子標的薬の開発も視野に入れたい。

次年度の研究費の使用計画

次年度は、実験動物(マウス)、生化学試薬、ガラス・プラスチック器具に対し、70万円、国内旅費5万円、海外旅費15万円、その他10万円の使用を予定している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Microenvironment and radiation therapy2013

    • 著者名/発表者名
      Yoshimura, M. Itasaka, S. Harada, H. Hiraoka, M.
    • 雑誌名

      Biomed Res Int

      巻: 2013 ページ: 685308-685320

    • DOI

      10.1155/2013/685308

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cancer cells that survive radiation therapy acquire HIF-1 activity and translocate towards tumour blood vessels2012

    • 著者名/発表者名
      Harada, H.Inoue, M.Itasaka, S.Hirota, K.Morinibu, A.Shinomiya, K.Zeng, L.Ou, G.Zhu, Y.Yoshimura, M.McKenna, W. G.Muschel, R. J.Hiraoka, M.
    • 雑誌名

      Nat Commun

      巻: 3 ページ: 783-792

    • DOI

      10.1038/ncomms1786.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Involvement of decreased hypoxia-inducible factor 1 activity and resultant G(1)-S cell cycle transition in radioresistance of perine2012

    • 著者名/発表者名
      Zhu, Y. Zhao, T. Itasaka, S.Y Zhu, T Zhao, S Itasaka, L Zeng, CJ Yeom, K Hirota, K Suzuki, A Morinibu, K Shinomiya, G Ou, M Yoshimura, M Hiraoka, H Harada
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 32 ページ: 2058–2068

    • DOI

      10.1038/onc.2012.223

    • 査読あり
  • [図書] Principles of Molecular Diagnostics and Personalized Cancer Medicine2012

    • 著者名/発表者名
      Dongfeng Tan, Henry T. Lynch, Yoshimura, M. Harada, H. Hiraoka, M.
    • 総ページ数
      992
    • 出版者
      Lippincott Williams & Wilkins

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公開日: 2014-07-24  

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