治療中に撮影されるelectronic portal imaging device(EPID)の画像を解析して、MV-X線治療ビームの照射位置に対する腫瘍および腫瘍近傍に留置された金マーカー位置の変動を評価した。肺癌の動体追尾照射を施行した症例において解析した結果、いずれも各軸方向で誤差5mm以内でありマージンの範囲内であった。 また昨年度までの研究により、4次元線量分布計算において臓器変形移動量を算出するDeformable image registration(DIR)の不確実性が最大の誤差要因であり、臨床使用にはアルゴリズムの改良および症例毎の精度確認が必要であることを示した。そこで、DIRアルゴリズムの改良として、治療計画で入力される肺、肝臓などの臓器輪郭情報を利用し、あらかじめ領域分割してレジストレーションを行うプログラムを作成した。臨床例の4D-CTデータを用いた評価で従来の方法より誤差が低減されていることを確認した。さらに、DIRの精度確認として変位の大きさに加えて領域毎に変形に伴う拡大縮小率、移動方向の変化を算出し閾値処理を行うことで、誤差が生じている領域を自動検出する手法を考案した。DIR結果を簡便に確認評価することが可能であり、4次元線量計算の臨床応用に有用である。
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