研究課題
核磁気共鳴画像法(MRI)や陽電子放出断層撮像法(PET)に代表される脳画像研究の進歩は、神経科学や臨床医学の発展に大きく寄与してきた。しかし、ハードウェアや撮像時間の制約に伴う画像の信号雑音(ノイズ)は解析や解釈上の障害となっている。このような現状を鑑み、申請者はノイズ除去性能が高い一方、計算コストが高く通常の手法では医用応用が困難であった3D Non-local means (3D-NLM) filter等の高精度ノイズ除去アルゴリズムをGPGPU (General Purpose GPU)で高速化させるソフトウェアを開発した。本研究の目的は、このノイズ除去ソフトウェアをヒトおよび動物の脳MRI・PETに適応し、基礎・臨床応用の可能性を明らかにすることにある。平成26年度では、前年度までに改良したソフトウェアを用いて、ラット構造MRIデータのさらなる取得および解析を継続して行った。結果、3D-NLMによるセグメンテーション精度の向上を検証し、解析上の空間分解能向上を図ることに成功した。さらに、軽度認知機能障害患者や精神疾患患者における構造MRIに対する3D-NLM処理により灰白質検出精度向上を検証することができた。また、健常被験者において拡散強調像に対する3D-NLMの適応により、神経線維の描画性能向上も検証しえた。研究期間全体を通じて、3D-NLMソフトウェアの改良を図ることができ、更なる高速化を実現した。ヒトや小動物の構造MRIのセグメンテーション精度向上および萎縮評価性能の向上を図ることができた。さらに、神経線維の描画性能の向上にも寄与することが示された。今後は、これらの実績に基づき、脳コネクトーム解析の精度向上など、新たな画像研究領域に対してノイズ除去フィルタを活用する予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 11件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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