研究課題/領域番号 |
24791297
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宇都宮 悟 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50570868)
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キーワード | 医学物理学 / 強度変調放射線治療 / 不確かさ / 感度解析 |
研究概要 |
強度変調放射線治療(IMRT)では通常の放射線治療より高度で複雑な照射技術が用いられているため、患者に投与される線量の不確かさ(線量不定性)を事前に把握することは難しい。本研究ではIMRTにおいて患者に投与される線量の不確かさを事前に予測する数学的モデルを構築し、かつその臨床応用上の実務的な問題点を解決する事を目的としている。本研究では、はじめに感度解析を用いた線量不定性モデル構築の方法を提案し前立腺がんIMRTにおける患者セットアップ時の位置誤差に適用した。その結果、患者ごとの解剖学的差異を反映した患者固有の線量不定性の数値化を行う事が出来た。この結果を学会発表し、論文投稿の準備は現在最終段階である。次に、線量不定性モデルを治療計画装置において計算された線量分布の誤差にも適用した。具体的には、X線照射野を整形するマルチリーフコリメータ(MLC)の位置精度、MLCのX線透過率の精度などに起因する不確かさが、最終的なIMRTの線量分布にどの程度影響を与えるかを調べる上で、線量不定性モデルがどの程度有用かを調べた。結果として、MLCの位置精度と線量透過率の精度に関する不確かさをセットアップ誤差に用いたものと同様の方法で数値化可能であった。この成果は既に学会発表されており、近く論文作成作業を開始する予定である。今後はこれらの研究成果を臨床応用する際の実務的な問題点について詳しく検討していく予定である。また、線量不定性を加味した、IMRTの患者別品質保証法の改良については引き続き検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
線量不定性モデルを過去に治療を受けた患者に適応してデータを取得する作業に予定以上の時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
線量不定性モデルをセットアップ誤差に応用した研究成果をまとめた論文は速やかに学術誌に投稿する。線量不定性モデルを治療計画装置において計算された線量分布の誤差に適用した研究は、今年度前半に学術誌への投稿を目指す。線量不定性を加味した、IMRTの患者別品質保証法の改良については本年度前半に基本的アイデアをまとめて今年度中の学会発表を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初参加を予定していた海外学会(The American Association of Physicists in Medicine, 55th annual meeting)に参加できなかったため。 本年度の学会(The American Association of Physicists in Medicine, 56th annual meeting)に参加してポスター発表を通して本研究の成果を発表する予定である。
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