研究課題
本研究では強度変調放射線治療(IMRT)において患者に投与される線量の不確かさを事前に予測する、感度解析の考え方を用いた数学的モデル(線量不定性モデル)を構築し、かつその線量不定性モデルの臨床応用上の実務的な問題を解決する事を目的としている。本研究では、線量不定性モデルを前立腺がんIMRTの放射線治療における患者セットアップ時の患者位置誤差(セットアップ誤差)に適用し、患者個々の解剖学的特徴を反映した線量不定性の定量化を行うことに成功した。この成果は、患者個々によるセットアップ誤差のインパクトの違いを反映した放射線治療が可能になる可能性を示したといえる。次に、この線量不定性モデルを、放射線治療計画装置の線量計算における、マルチリーフコリメータのX線透過率およびリーフ間ギャップの登録値(コミッショニング)の持つ不確かさに応用し、それらがIMRT線量分布のもつ不確かさとどのような関係にあるかを明らかにした。本研究の成果は、治療計画装置のコミッショニング時にMLCに関する前述の測定における測定精度の基準となるなど臨床応用上有用な情報を引き出す事ができることを明らかにした。これら一連の成果は米国AAPM等の国際学会や日本医学物理学会学術大会等の国内学会では既に発表されているが、英文学術論文誌には未だ掲載決定はなされてはおらず、引き続き掲載に向けた努力を継続していく。また、この線量不定性モデルを品質保証における線量分布測定結果の評価法へ応用する方法の開発については今後も引き続き検討を行っていく。
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医学物理
巻: 34 ページ: 208-217
Journal of Applied Clinical Medical Physics
巻: to be determined ページ: 印刷中