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2012 年度 実施状況報告書

生体イメージングによる胎生期放射線曝露モデル動物の中枢神経発達障害評価

研究課題

研究課題/領域番号 24791299
研究機関大阪大学

研究代表者

齋藤 茂芳  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40583068)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード胎生期放射線曝露 / 生体イメージング / 小動物MRI / Micro-CT
研究概要

胎生期の放射線曝露線量に依存した中枢神経障害の評価することが本研究の目的である。胎生期放射線曝露モデルの作成として、妊娠期のラット、マウスの全身放射線曝露実験の確立を行い、胎生期放射線曝露ラット、マウスモデルの作成を行った。妊娠15日の妊娠SDラット合計9匹に0.5Gy(3匹)、1.0Gy(3匹)、1.5Gy(3匹)のX線を単回、全身照射した。同様に、妊娠13日目の妊娠C57/B6-jマウスに0.5Gy、1.0Gy、1.5GyのX線を単回全身照射した。すべての放射線曝露動物から胎仔が産まれることが確認された。したがって、胎生期放射線曝露モデルの作成において、1.5Gy以下での被ばく線量が適切だと思われる。その後、胎生期の放射線曝露モデル動物に対して生体イメージングを用い、モデル動物の中枢神経障害の再現性を評価した。MRIおよびCT撮像は、3週齢以降、8週齢まで11.7T 垂直型高磁場MRI装置、Micro-CTを使用し撮影を行った。MRI画像解析では、テンソル画像により白質神経線維の発達異常の評価を行った。そのほか、T2強調画像で形態的な変化を評価をした。胎生期放射線曝露ラットにおいて、白質体積の減少、脳容積の減少が確認された。また、テンソル画像において、FA値から線維組織の異方性の低下、カラーマップで白質神経線維密度の低下が観察された。Micro-CTを用いたCT画像では頭蓋骨形成の異常、三次元CT画像を用いて小頭症、水頭症における脳体積、脳室体積低下が観察された。小動物MRI、Micro-CTの両手法とも胎生期放射線曝露モデルの中枢神経評価に用いることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は、胎生期放射線曝露モデルの作成の確立と小動物MRIおよびMicro-CTでの評価を目的に研究を行った。胎生期放射線曝露モデルの作成として、妊娠期のラット、マウスの全身放射線曝露実験の確立を行い、胎生期放射線曝露ラット、マウスモデルの作成を行った。その後、胎生期の放射線曝露モデル動物に対して小動物MRIでの脳の撮影を行い、モデル動物の中枢神経障害を評価した。Micro-CTを用いた、画像では頭蓋骨形成の異常、三次元CT画像を用いて小頭症、水頭症における脳体積、脳室体積低下が観察された。胎生期放射線曝露げっし類モデルの安定的な作成、MRIおよびMicro-CTでの評価が可能となった。24年度の実施した研究において、最も重要な胎生期放射線曝露モデルの作成が順調にすすみ、MRI、Micro-CTでの撮影も可能となった。したがって、現在までの研究の達成度はおおむね順調といえる。

今後の研究の推進方策

平成24年度は、胎生期放射線曝露げっし類モデルの作成の確立とMRIでの評価を目的に研究を行い、安定的なモデル動物の作成、MRIでの評価が可能となった。今後は、MRIの撮影に加え、Micro-CTや行動解析など多角的な評価を加えたいと考えている。また、MRIの結果より大脳白質の変性に加え、海馬での顕著な組織変性をが観察された。海馬は、動物の記憶に関わる行動などの評価も合わせて行いたい。また、免疫組織染色を行い、脳神経の分子レベルでの評価も加えたいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

[平成25年度] 平成25年度は,以下の2項目について,実験・検討を行う.
(1)マイクロCTでの評価、CT撮像は、3週齢以降、8週齢までMicro-CTにより撮像を行う。MRI撮影と同様に当初の目標は、3週齢以降での評価を目的とするが、3週齢より前の時期での撮影の可能性を検討する。撮影後の画像は、頭部領域におけるヒストグラムを作成などによりCT値の変化、Volumemetryにより脳体積を評価する。その一方で、三次元での撮影が可能であるため、三次元的な解析、評価の可能性を検討する。
(2)組織染色での評価、組織染色は、出生後3週齢から8週齢までの固体をランダムに選び、週齢ごとの障害の変化を観察する。撮影後のすべての個体に対し脳組織切片を作製し、HE染色および免疫組織染色(GFAP、IBA1、NCAM、LFB、SMI-32、GAP-43、Laminin)を行う。また、組織染色に関しては、研究協力者の澤田教授と連絡を取り、脳発達障害の関連する染色法を試してみる。
(3)行動解析、行動解析は、出生後3週齢から8週齢までの固体をランダムに選び、週齢ごとの記憶に関する行動を観察する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Visualization of mouse spinal cord microscopic structures by use of ex-vivo quantitative micro-CT images2013

    • 著者名/発表者名
      Shigeyoshi Saito and Kenya Murase
    • 雑誌名

      Radiological Physics and Technology

      巻: 6(1): ページ: 7-13

    • DOI

      10.1007/s12194-012-0163-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Detection and early phase assessment of radiation-induced lung injury in mice using micro-CT2013

    • 著者名/発表者名
      Shigeyoshi Saito and Kenya Murase
    • 雑誌名

      PLos ONE

      巻: 7(9): ページ: e45960

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0045960

    • 査読あり
  • [雑誌論文] High resolution ex-vivo imaging in mouse spinal cord using micro-CT with 11.7T-MRI and myelin staining validation2012

    • 著者名/発表者名
      Shigeyoshi Saito Yuki Mori, Yoshichika Yoshioka and Kenya Murase
    • 雑誌名

      Neuroscience Research

      巻: Volume 73, Issue 4 ページ: 337-340

  • [雑誌論文] Ex-vivo imaging of mice brain using Micro-CT with nonionic iodinated contrast agent: a comparison with myelin staining2012

    • 著者名/発表者名
      Shigeyoshi Saito and Kenya Murase
    • 雑誌名

      The British Journal of Radiology

      巻: 85(1019) ページ: 973-978

    • DOI

      10.1259/bjr/13040401

    • 査読あり
  • [学会発表] 小動物用マイクロCTによる急性期放射線誘発肺組織障害の検出2012

    • 著者名/発表者名
      齋藤 茂芳、村瀬 研也
    • 学会等名
      第68回日本放射線技術学会総会学術大会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川)
    • 年月日
      20120415-20120415

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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