胎生期の放射線曝露線量に依存した中枢神経障害の評価することが本研究の目的である。胎生期放射線曝露モデルの作成として、妊娠期のラット、マウスの全身放射線曝露実験の確立を行い、胎生期放射線曝露ラット、マウスモデルの作成を行った。妊娠15日の妊娠SDラットに0.5Gy、1.0Gy、1.5GyのX線を単回、全身照射した。同様に、妊娠13日目の妊娠C57/B6-jマウスに0.5Gy、1.0Gy、1.5GyのX線を単回全身照射した。すべての放射線曝露動物から胎仔が産まれることが確認された。したがって、胎生期放射線曝露モデルの作成において、1.5Gy以下での被ばく線量が適切だと思われる。その後、胎生期の放射線曝露モデル動物に対して生体イメージングを用い、モデル動物の中枢神経障害の再現性を評価した。MRIおよびCT撮像は、3週齢以降、8週齢まで11.7T垂直型高磁場MRI装置、Micro-CTを使用し撮影を行った。MRI画像解析では、テンソル画像により白質神経線維の発達異常の評価を行った。そのほか、T2強調画像で形態的な変化を評価をした。胎生期放射線曝露ラットにおいて、白質体積の減少、脳容積の減少が確認された。また、テンソル画像において、FA値から線維組織の異方性の低下、カラーマップで白質神経線維密度の低下が観察された。Micro-CTを用いたCT画像では頭蓋骨形成の異常、三次元CT画像を用いて小頭症、水頭症における脳体積、脳室体積低下が観察された。小動物MRI、Micro-CTの両手法とも胎生期放射線曝露モデルの中枢神経評価に用いることができた。
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