研究課題/領域番号 |
24791302
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森 勇樹 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任研究員(常勤) (10559355)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 磁気共鳴画像法 / 免疫細胞動態 / 神経免疫学 |
研究概要 |
研究代表者は、超高磁場11.7 T 磁気共鳴画像(MRI)装置を用いた生体脳内正常時及び病態形成時の免疫細胞動態の視覚化、評価法の開発を目的とし、研究を進めてきた。この方法により、生体に侵襲を加えることなく、脳内の免疫細胞動態を捉えられ、正常時及び神経免疫疾患における免疫細胞の活動と役割を明らかにすることが期待できる。そのためには、細胞レベルの検出感度が必要で、今年度は研究実施計画に即し、空間・時間分解能向上のためのMRI撮像技術の改良と開発を主に行った。第一に、マウス脳撮像に最適化したプローブコイルの開発および撮像パラメータの最適化を行った。プローブコイルはその直径が小さいほど、測定感度が向上する。そのため、生体マウスの頭部にフィットする内径15mmのボリュームコイルを作成した。同時に11.7 T MRIにおける生体脳のイメージングに最適なパラメータの調整を行い、これらにより、10分程度の撮像時間で数十ミクロンレベルの空間分解能を実現することに成功した。第二に、正常および病態モデル脳における免疫細胞の分布を造影剤を用い観察した。免疫細胞動態追跡のための造影剤として、磁性粒子を用い、最適な投与条件を検討した。正常マウスおよびリポ多糖(LPS)の腹腔内投与により炎症を誘導された病態マウス静脈内に最適化した磁性粒子を投与することで、免疫細胞の分布を詳細に捉えられる可能性があることが分かった。本研究結果は、第40回日本磁気共鳴医学会、20th Annual meeting of International Society of Magnetic Resonance in Medicine、8th International Forum on Multimedia and Image Processingにて発表した。また、上記研究結果は、現在論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、平成24年度では、マウス脳内の免疫細胞動態観察に耐え得る空間・時間分解能向上のための技術改良と、造影剤の最適化を行い、新しい免疫細胞動態評価法開発の基礎づくりを計画した。現状、おおむね当初の計画通り進んでおり、次年度における正常および病態モデルマウス脳における免疫細胞の関与とその機序の解明を目的とした研究を行う基礎が出来上がったものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、今年度の研究結果を踏まえ、正常および病態モデルマウス脳における免疫細胞の関与とその機序の解明を図るため、虚血モデルマウスなど各種病態モデル動物を用い、免疫細胞の分布および活動性の違いをMRIを用いて捉える。研究成果は学会発表および論文発表により、社会に広く情報発信する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度のプローブコイル開発の計画において、中国に在籍する研究者の協力を仰ぐ予定を立てていたが、日本国内で対応することが可能となり、そのための外国旅費が発生しなかった。当該研究費は次年度における研究をより詳細に行うためのモデルマウス購入、および成果発表のための費用として使用する予定である。
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