研究課題/領域番号 |
24791303
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉原 文徳 大阪大学, 免疫学フロンティア研究セ ンター, 特任助教 (50381645)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | MRI / HMQC / 脂質 |
研究概要 |
本研究で提案する多重共鳴MRI法として1H-13C HMQC(Hetero Multi Quntum Coherence)法を新たに導入されたMRI装置へ移植し、新規に導入されたコイルを用いて測定条件の検討を行った。当初利用予定の装置では感度ムラなどがあったために測定範囲の制限があったが、新しいコイルでは感度ムラもなく良好な画像が得られることが確認できた。 条件検討の後に標準試料となる各種の脂質を用い空間分解能、感度性能、スペクトル分解能をそれぞれ調べた。スライス選択をしない状態では予想される画像が得られたが、スライス厚と位置の設定ができるようにしたところ、スペクトル選択に影響を受けることが判明した。その為、測定プログラムの改良が必要であることが分かった。 次いでマウスを用いて、生きた状態で測定可能な条件を検討した。脂肪組織では高信号が得られるが、解析が可能な分解能を得るには一画像あたり10-20分の測定が必要であり、異なる信号毎に撮像が必要であることから、スペクトル・位置・角度を変えることで数時間の測定が必要であった。そこで、解析に必要となる最小の測定条件を整え、マウスへの負担を軽減するよう検討した。 野生型マウスの測定で脂質構成成分によって分布に違いがみとめられたことから、基本的な条件でどのような差があるかを測定した。まず性差がみられるかどうかを同一系統の野生型マウスの雌雄で測定したところ、どちらも似た様な傾向があるこが分かった。年齢によって変化がみられうかどうかを11週齢と9カ月齢のマウスで測定したところ、脂肪成分の変化がみられた。 本方法で得られた結果を検証するために測定後にマウスから組織を取り出し、脂肪抽出をし、脂質構成成分の依頼分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究状況は提案した計画に含んだ実験をほぼ実施し、計画で目標とした測定手法の確立、マウスでの測定、抽出成分の分析をそれぞれ行うことができた。 測定手法の確立は、測定環境の立ち上げからのスタートであったが装置利用が可能となるまでには必要な手続きを終えることができ、実験を開始することができた。当初はスライス選択を考慮していたかったが、より詳細な解析のために改良を試みたが完成には至らなかった。 マウスの測定では様々な生理条件下での測定を試み、本研究での手法によりどのような変化がみられるかを測定する計画であった。性差と年齢に関しては測定実施できたたが、食餌の内容による変化や温度環境の変化などを試みるまでは至らなかった。 抽出成分の分析では抽出するための準備や方法の検討からのスタートであったが、得られた画像と対応した各部位からの脂質抽出をし分析することができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までにでてきた課題である測定手法の改良を進め、より有用な測定手法とする。 当初計画のようにマウスを用いた測定で、外部刺激による信号変化を継時的に測定し、生理的な変化、免疫応答がみられるかどうか試みる。 生理的な変化は飼育温度の変化により脂質構成分布に変化がみられないかどうかを検討する。マウスやヒトなどでは低温暴露によって褐色脂肪組織へのグルコースの取り込みが亢進することがしられている。本研究で用いている手法は13C標識したグルコース、または代謝物の追跡が原理的には可能であるので適用できるかどうか検討する。 食餌による変化では高脂質の食餌によって肥満マウスを誘導できることから、モデルマウスを用い、肥満マウス・病態モデルマウスにおける脂質構成成分の変化を観察する。 免疫応用では、LPSなどによる刺激で脾臓の脂質構成に変化があることから、本手法によって、脂質量の変化のみでなく構成成分の変化がみられないかどうかをマウスでみられないかどうか検討したい。 また本研究で確立した手法と個体中での脂質構成成分の測定結果をまとめ、学会および論文発表し、今後本手法の適用できる領域を検討していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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