生体吸収性素材を用いたスペーサーによる腸管内外防護放射線治療の確立を目的として研究を行った。今年度はスペーサーの実験動物生体内での動態と、スペーサーを埋植した実験動物のあらゆる変化を、有効性及び安全性の面から評価した。評価には蛍光顕微鏡を用いて組織学的な観察も行った。また、粒子線を照射したスペーサーを実験動物に埋植し、標本作製によりスペーサーの厚み・面積から体内吸収率を評価し、スペーサー内部のpHを測定して吸収の原因解明に向けて研究を行った。そのほか、粒子線を照射したスペーサーを実験動物に埋植し、標本作製により主要臓器とスペーサーとの癒着を評価を行った。粒子線を照射したスペーサーを実験動物に埋植し、標本作製により生体内におけるスペーサーの細胞浸潤度を評価すると共に、浸潤細胞を特定する実験も行った。また、スペーサーを埋植した実験動物の血液学的検査を実施し、生体内で吸収されたスペーサーの血液への影響を評価を行った。スペーサーの長期埋没に対する影響としてはカニクイザル腹部に人体に埋植するのと同程度のPGA spacerを埋植。長期間(85days)飼育し、PGA spacerの毒性評価をおこなった。その他、ラットの腹壁にPGA spacerを95日間埋植し、CT撮影により吸収性を確認するとともに、組織学的評価を行った。ラットによるスペーサー留置とRedox制御を用いた抗酸化食品による粒子線照射・X線照射への影響については、実験準備を進めている段階である。
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